マーケティング部門向けAI研修は、汎用の研修と何が違うのか

「研修そのものは好評でした。ただ、そのあと業務はあまり変わっていません」

生成AI研修を入れた企業の担当者から、よくうかがう話です。これは受講者のやる気や理解力の問題ではないことがほとんどです。汎用のAI研修が答えているのは「AIに何ができるのか」という問いで、マーケティング部門が知りたいのは「今の手順のどこを、誰の承認で置き換えるのか」という別の問いだからです。

能力の話と、配置の話は別物です。前者だけを入れて後者を飛ばすと、詳しい人が増えるだけで、翌月の業務は前と同じまま、ということが起きます。

以下は、当社が自社のマーケティングをAIで運用してきた範囲での整理です。業界全体を調べた統計ではありません。

汎用研修と部門向け研修は、何が違うのか

汎用のAI研修マーケティング部門向け
中心にある問いAIに何ができるか今の手順のどこを置き換えるか
扱う題材ツールの機能と使い方自部門の実際の業務フロー
持ち帰るもの使えそうだという感触手を入れた工程と、確認の段取り
うまくいったかの判断受講者の満足度翌月の作業が実際に変わったか

つまり、汎用研修は「使える人を増やす」ためのもので、部門向けは「使う場所を決める」ためのものです。どちらが上ということではなく、順番と目的が違います。全社に薄く配るなら前者、特定部門の成果物を変えたいなら後者です。

なぜマーケ部門は、確認の段取りまで決めないと運用に載らないのか

マーケティング部門には、他部署と違う制約があります。成果物がそのまま社外に出ることです。

議事録の要約や社内向けの下書きであれば、多少おかしくても読んだ人が気づいて直せば済みます。広告文、メールの本文、SNSの投稿、ランディングページの原稿は違います。出た瞬間に会社の名前で外に届き、取り消せません。

だから、この部門の研修は「AIへの指示の書き方」だけでは足りません。出す前に誰が何を見るのかまで決めて、初めて翌週から使える状態になります。

ここを決めずに現場に戻ると、担当者は「自分の判断で外に出してよいのか分からない」ので、結局これまでどおり手で書きます。研修が現場で止まる原因は、たいていここです。技術ではなく、責任の所在が決まっていないことのほうが効きます。

当社はこれを承認ゲートと呼んでいて、外に出る直前に必ず人の確認を挟んでいます。何をAIに任せ、何を人が持つかは「間違えたときに取り返しがつくか」で分けています。具体的な配置は私たちの働き方で公開しています。

相性のいい工程、悪い工程はどこか

研修の設計に入る前に、自部門の工程をこの目で見ておくと、当日の議論が早くなります。

任せやすい工程

人が持つべき工程

境目は「難しいかどうか」ではありません。間違えたときに、取り返しがつくかどうかです。案出しは外れても捨てれば済みますが、配信したメールは戻せません。

発注前に、研修会社に確認しておくこと

複数社を比べるときは、金額を並べる前に次の項目を揃えて聞くと差が見えます。

  1. 事前に自部門の業務フローを聞き取ってもらえるか(既成の教材をそのまま使うのかどうか)
  2. 研修中に扱うのは、練習用の題材か、自社の実際の案件か
  3. 出す前の確認の段取りまで、一緒に決めてもらえるか
  4. 終わったあとに質問できる期間が含まれるか

費用については、公開されている情報を見るかぎり1名あたり6万円〜30万円という幅があります。ただしこれは各社の掲載価格を集めたもので、統計調査ではありません。金額の差が何から来るのかは生成AI研修の費用相場と、使える助成金の考え方に整理しました。

なお助成金について補足すると、生成AI研修は人材開発支援助成金の対象になり得ますが、申請するのは研修を受ける企業側であり、研修提供側が国の認定を受けている必要はありません(事前認定の制度は廃止されています)。支給されるかどうかは労働局の審査で決まるため、研修会社が保証できるものではありません。要件と受給の可否は、必ず管轄の労働局にご確認ください。

明日からできること

研修会社を探す前に、部門のなかで次の作業を済ませておくと、どの会社に頼んでも効果が変わります。

ここまで用意して臨む研修と、当日に白紙で臨む研修とでは、持ち帰るものが変わります。

当社の企業向けAI研修は、自社のマーケティングをAIエージェントで運用するなかで実際に効いた設計をそのままお伝えする形にしています。内容と進め方は企業向けAI研修をご覧ください。

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